SNSやネット掲示板で定期的にトレンド入りする「『魔女の宅急便』のあの名言、実は本編に存在しない説」。結論からお伝えすると、この噂は紛れもない事実です。キキは劇中のどの場面においても、「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」という言葉をそのまま口にしてはいません。
では、なぜ日本中が「キキが映画のラストでそう言った」と思い込んでいるのでしょうか。その発端は、映画のエンディングロール直前に流れる、キキが故郷の両親(オキノとコキリ)へ宛てて送った手紙のナレーションにあります。声優の高山みなみ氏が穏やかに読み上げる実際の手紙の文面は、以下の通りです。
「お父さん お母さん お元気ですか。私もジジも とても元気です。仕事の方も 何とか軌道に乗り、少し自信がついたみたい。落ち込むこともあるけれど、私、この町が好きです。」
劇中のナレーションは「落ち込むこともあるけれど、私、この町が好きです」で締めくくられています。一方、劇場公開時の宣伝ポスターやパンフレットに大きく刷り込まれていたのが、糸井重里氏による「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」というコピーでした。
「落ち込む」という感情の吐露と、「元気」という現状の報告。この2つの要素がポスターと劇中手紙で共通していたため、映画を観た観客の脳内でビジュアルと音声の記憶が完全に融合し、「キキが最後に言った感動的な名セリフ」として広く定着していったのです。