「主要ブラウザでサードパーティCookieが段階的に規制されたから、もう追跡はされないはずだ」と考えているなら、それは大きな誤解です。各国の法規制やプラットフォーマーのブラウザCookie規制が進んだ結果、追跡技術はより巧妙で不可視な領域へと進化しました。
その代表格が「ブラウザフィンガープリント(端末指紋認証)」です。ブラウザの種類、バージョン、画面解像度、インストールされているフォント、バッテリー残量といった数十項目のシステム構成を組み合わせることで、Cookieを使わずに99%以上の精度で個別のブラウザを識別する技術が実用化されています。取材に応じた大手アドテク企業のエンジニアは、次のように内情を明かしています。
「表向きはプライバシー保護を謳いながらも、Cookieに依存しないフィンガープリンティングやファーストパーティデータの共有ネットワークを構築するのが現在の業界標準です。ユーザーがブラウザ上で何気なく開いたタブの情報は、瞬時にミリ秒単位のオークションにかけられています」
こうした見えない包囲網に対抗するためには、ブラウザやOSの標準機能に頼り切るのではなく、利用者自身が能動的にトラッキング拒否設定を施し、追跡を遮断するツールを導入するリテラシーが求められます。