美容室の相場といえば、カット&フルカラーで1万円から1万5000円前後が一般的な水準です。これに対し、アグヘアーでは同メニューが4000円台〜6000円台という半額近い価格設定で提供されています。消費者が「何か裏があるのではないか」と疑念を抱くのは無理もありません。しかし、この低価格の根底には緻密に計算された経営合理化が存在します。
アグヘアーブランドを全国展開しているのは、持株会社である株式会社AB&Companyです。同社は直営店とフランチャイズ(FC)を組み合わせた出店戦略により、全国47都道府県に1000店舗規模のネットワークを構築しています。この巨大なスケールメリットこそが、第一のコストダウン要因です。シャンプー台、セット面の什器、そしてカラー剤やパーマ液といった消耗品を全店舗分一括で大量発注することにより、仕入れ単価を極限まで圧縮しています。
さらに決定的なのが、Agu美容室における業務委託美容師を中心とした人員構成です。従来型のサロンでは、見習いのアシスタントを雇い、社会保険料や固定給を支払うため固定人件費が膨らみます。一方でアグヘアーは、各スタイリストと完全歩合制の業務委託契約を締結し、シャンプーからブロー、会計までを1名のスタイリストが全行程担当する「完全マンツーマン制」を採用しています。アシスタントを抱えないため人件費の無駄がなく、無駄な待機時間も発生しないため、セット面の回転率を高めて利益を出すビジネスモデルを完成させています。