2026年現在、スイスにおける外国人受け入れの運用基準はより厳格化の傾向を見せている。現地関係者への独自取材によって明らかになったのは、単に「死にたい」という願望を満たすための渡航は一切認められないという厳格な事実だ。
渡航者が直面する最大の壁の一つが費用面である。支援団体への入会金や年会費、現地医師による複数回の精神・身体鑑定費用、致死性薬物の処方と調剤費、そして事後の火葬や遺骨送還費用まで含めると、団体に支払う直接的な費用だけでおよそ1万から1万5000スイスフラン(日本円で約170万〜250万円)にのぼる。さらに、日本からの往復航空券、現地での滞在費、診断書の翻訳費用、同行家族や通訳の経費を合算すれば、実質的な総額は300万円から400万円を超えるのが現実だ。
適用条件も極めて厳しい。患者が自発的かつ明確に死を望んでいること、判断能力(意思能力)が完全に保たれていること、医学的に治療不能な疾病や耐えがたい苦痛が存在することが絶対条件となる。認知症が進行して判断能力を失った段階での行使は認められない。日本人利用者の現状を見ても、申請から承認までに数か月から1年以上を要し、語学や書類準備の負担から断念するケースも多い。