完璧なアイドル演歌歌手を演じ続ける歳月は、次第に彼の心を削っていった。「男らしさ」を求める世間の視線と、自身の内面とのズレ。その葛藤を打ち破る転機となったのが、2017年のアニメ主題歌『限界突破×サバイバー』だ。激しいロックサウンドに乗せ、全身でシャウトする姿はYouTubeをはじめ世界中でバイラルを起こし、J-POPの文脈でも熱狂的に受け入れられた。
そこで彼が自らの愛称として選んだのが「Kiina(キリーナ/きーな)」だった。実はこの呼び名、プライベートで心を許した友人たちから長年呼ばれていた愛称だという。虚飾を脱ぎ捨て、性別の枠組みや演歌というジャンルを超越した一人の表現者として立つための合言葉。それがKiinaという名義だったのだ。