ネット上では「さいとう・たかをの生涯年収は300億円で全額個人の資産」といった誇張された言説も見受けられます。しかし、実際の構造ははるかにシビアで計画的なものでした。
第一に、分業制を維持するためには多数のアシスタントや専門スタッフ、シナリオライターを常時雇用し続ける固定人件費・オフィス維持費が発生します。年間数億円規模の総売上があっても、そのうちの相当割合は制作現場への再投資とスタッフへの給与・福利厚生に充てられていました。
第二に、プロダクションの法人税やバブル期の税制改正への対応です。氏は無謀な投資やバブル投機に溺れることなく、稼いだ利益を着実に会社組織の防衛資金としてプールしていました。そのため、個人資産としての総額とプロダクション全体の事業資産を適切に区別して捉える必要があります。