「市販の風邪薬を何日も飲んでいるのに、なぜ上咽頭炎は治らないのか」と頭を抱える方は後を絶ちません。その最大の理由は、患部が存在する解剖学的な位置の特殊さにあります。
口を大きく開けて鏡を覗き込んでも、見えるのは中咽頭(扁桃腺など)までです。上咽頭は軟口蓋の裏側に隠れており、口側からも鼻側からも直接は見えません。この構造こそが、上咽頭炎に喉スプレーが届かない真相です。ドラッグストアで手に入るポビドンヨードやアズレン配合の喉スプレーを口から噴射しても、薬剤は舌や喉頭の手前に付着するだけで、肝心の上咽頭には物理的に到達しません。
さらに、一般的な総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン成分は鼻水を止める効果がある一方、粘膜を過度に乾燥させる副作用を持ちます。上咽頭の粘膜が乾き切ると線毛運動が低下し、炎症がさらに慢性化するという悪循環に陥ってしまうのです。