群馬県高山村が数ある北関東の温泉地やリゾート地と一線を画している最大の要因は、「重厚なヨーロッパの歴史ロマン」と「宇宙の神秘に触れる漆黒の夜空」という、一見すると対極にある二大コンテンツが共存している点にあります。
その筆頭が、1993年に復元されたロックハート城です。1829年にスコットランド・エディンバラの南西約50kmに建てられた実在の古城を、俳優・津川雅彦氏と民間企業の情熱によって日本へ解体移送し、延べ1万5,000人もの職人の手によって築き上げられました。テレビドラマや映画の撮影地として数多くのメディアに登場し、石造りの街並みや歴史あるチャペル、本格的なドレスをまとって記念撮影ができる「プリンセス体験」は世代を超えて高い支持を獲得しています。単なるテーマパーク的なレプリカではなく、歴史の風雪を耐え抜いた石材そのものが持つ重厚感が、訪れる人々を異国情緒へと誘います。
そして夕暮れを迎え、村が藍色の静寂に包まれると、もうひとつの主役である群馬県立ぐんま天文台が本領を発揮します。高山村は1998年10月1日、全国でも先駆的な試みとして「高山村の美しい星空を守る光環境条例」を施行しました。村内の屋外照明やサーチライトに厳格な基準を設け、夜間の不要な光漏れを抑え込んできた結果、肉眼でも天の川がくっきりと浮かび上がる卓越した暗夜環境が保たれています。口径150cmの大型反射望遠鏡を通して覗く星雲や惑星の姿は、日常の喧騒を忘れさせる圧倒的な説得力を持っています。