大泉兄弟の生い立ちを紐解くと、洋氏のあの軽妙洒脱な話芸がどのように育まれたのか、そのルーツが明確に見えてきます。大泉洋と兄の年齢差は7歳。幼少期の7歳差といえば、子どもにとっては親や教師に匹敵する「絶対君主」のような存在です。
過去に洋氏がバラエティ番組やトークショーで明かした回想録によると、幼い頃の兄・潤氏はすでに理路整然とした弁舌の持ち主でした。兄弟喧嘩が勃発しても、感情任せに怒鳴るのではなく、小学生の洋氏に対して「お前の論理の破綻点」を理路整然と指摘して追い詰めるスタイルだったといいます。どんなに屁理屈をこねても兄の知性と弁論術には一切敵わず、洋氏は「口喧嘩で兄貴に勝てた記憶は一度もない」と白旗を揚げています。
また、洋氏が語った有名な逸話に、家庭内でのテレビのチャンネル権をめぐる攻防があります。兄が見たい教養番組やドキュメンタリーと、幼い洋氏が見たいアニメやバラエティ。洋氏が泣きついても、兄は「なぜ今この番組を見るべきなのか」を格調高い語彙で説得し、結果として洋氏は兄の横で黙って難しい番組を見せられていたというエピソードです。しかし、洋氏は当時を振り返りながら「あの兄の立て板に水のような語り口に憧れ、必死で言い返そうと言葉を磨いたことが、自分のトークの基礎になった」と愛情を込めて語っています。