日本人の平均寿命が延伸を続ける中、90歳を迎える意義は以前にも増して重みを増している。厚生労働省が公表する簡易生命表などのデータを見ても、90歳まで生存する割合は女性で約半数、男性でも4人に1人に達する勢いだ。かつては極めて稀であった長寿が、今や現実的な人生の到達点となって久しい。
国が実施する「老人の日記念事業」では百歳到達者に祝状と記念品が贈呈されるが、かつて地域で盛大に行われていた「百歳万歳」の祝祭感は、今や90歳の卒寿の場へと前倒しで受け継がれている。元気に90歳を迎えられた奇跡と、医療・福祉に支えられながら歩んできた歳月への感謝。行政の高齢者福祉政策の変遷を背景に、卒寿祝いは一族の絆を確かめ合う極めて貴重な社会的イベントとしての色彩を強めている。