Web上の言説において、「人情深い人は誰に対しても平等で、聖人君子のような存在である」と語られがちですが、これは明らかな誤解です。現場での行動観察を深めると、人情深さゆえの重大な盲点や偏りが浮かび上がってきます。
最大の見落としは、「内集団バイアス(身内びいき)の強さ」です。人情深い人は、自分が情を注いだ対象や、過去に縁のあった人物に対して強烈な味方意識を持ちます。その結果、客観的なルールや公平な評価基準よりも「情義」を優先してしまい、組織の公平性を損なう事態を引き起こすことがあります。客観的な実力主義が求められる場において、「あの人は昔から世話になったから」「苦労を知っているから」という理由で無能な人間を要職に据え続け、チーム全体を瓦解させてしまう例は枚挙にいとまがありません。
また、「人情深い人はお人好しで怒らない」というイメージも事実とは異なります。彼らが最も激しい怒りを燃やすのは、利益を奪われたときではなく、「注いだ情や信頼を裏切られたとき」です。普段は温厚であっても、不義理や不誠実を目の当たりにした瞬間、徹底的な拒絶へと舵を切る激しい一面を秘めています。