本作が業界内で「若手ミュージカル俳優の最高峰の登竜門」と呼ばれる背景には、極めてハイレベルな子役オーディション倍率があります。関係者の証言や例年の選考規模を照らし合わせると、全応募者に対する実質倍率は10倍から15倍以上。特にガンバや潮路(しおじ)といった主役級の配役に限れば、数十倍の超難関となります。
応募書類の段階から厳格な審査が行われ、実技審査では高度な歌唱力、正確なリズム感を伴うダンス、そして何よりも「役の痛みを我が事として引き受けられるか」という演技の表現力が試されます。合格者の多くは『アニー』や劇団四季『ライオンキング』のヤングシンバ・ヤングナラ経験者、あるいは名門児童劇団で英才教育を受けた猛者たちです。
海組・月組といったダブルキャスト制が敷かれる冒険者たちミュージカルのキャスト一覧を振り返ると、過去には森谷美優さん(ガンバ役)、岡田彩希さん(潮路役)、深澤七子さん(マンプク役)、櫻井陽唄さん(ヨイショ役)、並木日佳梨さん(ガクシャ役)、齋藤花さん(バレット役)、後藤久さん(イカサマ役)など、後に大手劇団や東宝系ミュージカル、映像分野で頭角を現す逸材たちがズラリと並んでいます。
そして作品の絶対的なキーパーソンとなるのが、圧倒的な悪の象徴である白イタチの首領・ノロイ役キャストです。子役たちが束になっても到底敵わないと感じさせる威圧感、冷酷無比な歌声、怪奇的なまでの美しさを表現するため、ノロイ役には卓越した歌唱力と舞台経験を誇る大人のプロ俳優が配役されるのが通例です。このノロイの絶対的な壁の高さこそが、少年ネズミたちの結束と勇気を極限まで引き立てる装置となっています。