指導現場で長年信じ込まれてきた「リリースの瞬間に手首を小指側にひねる(回外動作を急激に入れる)」という感覚。バイオメカニクスの見地から見れば、これは極めてリスクが高く、ボールの変化量をかえって奪う誤った身体操作です。
前腕を無理に内側や外側へ急旋回させると、肘の内側側副靭帯(UCL)に強力な牽引ストレスが集中します。さらに、手首の角度がリリース直前でブレるため、変化球のカーブが抜ける原因の約8割がこの「過剰なひねり意識による指先の離れ」に起因しています。手首は固定し、ストレートと全く同じ腕の振りの中で「縫い目を指先で撫で下ろす」ように抜くことこそが、安定した制球と回転量を生む大原則です。
また、ボールがすっぽ抜けて高めに浮いてしまうもうひとつの要因は、リリースポイントを前に設定しすぎることです。カーブは球軌道の特性上、ストレートよりも頭に近い「やや高めで手前」の位置から指先をリリースさせる感覚が合致すると、綺麗に下方向へのトップスピン(純回転)がかかり始めます。