過剰なプレミアム価格で取引されていた相場が、ここにきて急速な調整局面を迎えている。ペット産業関係者への徹底取材によって浮かび上がったのは、無計画な繁殖バブルの崩壊と、急増した「サイズ偽装」への消費者の警戒感だ。数年前まで50万〜80万円が当たり前だった生体価格は、現在では20万円台、場合によっては10万円台前半まで急落するケースが相次いでいる。
価格暴落の引き金となったのは、悪質なバックヤードブリーダーによる粗製濫造だ。高値で売れるという理由だけで、十分な世代管理を行わずに未成熟な個体同士を交配させたり、単なる柴犬の未熟児を「希少な極小豆柴」と偽って競り市へ流す手口が横行した。その結果、成長するにつれて標準的な柴犬のサイズ(10kg前後)まで巨大化し、「騙された」と憤る飼い主からのクレームや返還トラブルがペットショップへ殺到した。
市場に流通する個体数が飽和状態に達したことも大きい。急速な供給過多はブリーダー側の在庫リスクを高め、早期現金化を狙った投げ売りを誘発した。一握りの優良ブリーダーが手掛ける確かな血統を持つ個体が高値を維持する一方で、出自の怪しい個体がディスカウントストア同然の価格で叩き売られるという、極端な二極化がペット産業の現場で進行している。