都心の超高層ビル展望台といえば、頑丈な二重ガラスに囲まれた回廊を思い浮かべる人が大半だろう。だが、ここは根本から設計思想が違う。44階から46階にかけて広がる三層吹き抜けの回廊は、文字通り頭上が完全に空へと抜けているのだ。
風が吹けば前髪が乱れ、冬ならキリリとした冷気が容赦なく頬を刺す。雨の気配すら運んでくる湿った空気の匂い。この「剥き出しの環境」こそが、日常のフィルターを一瞬で吹き飛ばす。耳を澄ませば、200メートル以上下を行き交う名鉄電車やJRの走行音、かすかなクラクションの反響が、都市の重低音となって風に乗って届く。安全ガラスの隙間から滑り込んでくるリアルな大気。このスリルと静寂の絶妙な同居は、一度体感すると奇妙な中毒性がある。