かつてNHKの長寿番組『ためしてガッテン』をはじめとするテレビの健康情報番組は、納豆の持つ驚くべき健康パワーを度々取り上げ、全国的なブームを巻き起こしてきた。番組で「血液がサラサラになる」「免疫力が向上する」と紹介されるや否や、翌朝のスーパーマーケットの棚から納豆が一瞬で消え去る現象は、日本の風物詩とも言える光景だった。
しかし、時代が下り情報の発信地がデジタル空間へと移行すると、その伝播の仕方はより極端な形へと変貌を遂げた。Yahoo!ニュースのコメント欄やSNSでは、「健康に良いなら食べまくればいい」という極論が散見されるようになり、動画共有プラットフォームであるYouTubeでは「納豆100パックを完食できるか」といった無茶な大食いチャレンジ企画が視聴数を集めるようになった。
メディアが伝える「健康効果」の威力が強いあまり、消費者の意識の中で「適量」という重要な前提が置き去りにされてしまうケースは少なくない。メディアの情報に飛びつくこと自体は悪ではないが、その裏に潜むリスクや制限事項にまで正しく目を向ける情報リテラシーが、現代の視聴者には強く求められている。