水の都として名高い岐阜県大垣市に本店を構える田中屋せんべい総本家は、幕末の安政6年に初代・田中増吉氏が創業して以来、岐阜・大垣を代表する銘菓・和菓子の最高峰として名を馳せてきました。古くから中山道と東海道を結ぶ交通の要所であった大垣において、旅人の携行食や贈答品として重宝された歴史を持ちます。
現代の和菓子業界において同店がひときわ強い存在感を放っている理由は、単なる歴史の長さに甘んじず、「伝統の徹底した継承」と「時代に即した大胆な革新」を高い次元で両立させている点にあります。看板である「みそ入煎餅」は、一般的な米菓の醤油煎餅とは根本的に異なり、小麦粉生地に自家製の糀味噌、胡麻、砂糖を練り込み、一切水を使わずに焼き上げる独自の製法を貫いています。
さらに6代目当主をはじめとする職人たちが、伝統の味を守りつつ現代のライフスタイルに溶け込む新感覚の和スイーツを次々と発信。クラフト感あふれるモダンなパッケージデザインや、後述するキャラメル煎餅「まつほ」などのヒット作により、従来の歴史ある和菓子ファンだけでなく、感度の高い若年層やビジネスの手土産需要を確実に捉えています。