「寝ぼけたまま布団に足を入れた瞬間、電撃のような痛みが走った。慌てて冷凍庫の保冷剤で患部をキンキンに冷やしたが、痛みは引くどころか骨の髄まで響くような拍動痛に変わり、一晩中一睡もできなかった」
大手SNSやネットの知恵袋等に寄せられる被害体験談には、このような痛切な手記が無数に散見されます。かつて昭和や平成の家庭では、「虫刺され=冷やしてアンモニアを塗る」という誤った常識が広く信じられていました。しかし現代医学において、ムカデ毒に対するアンモニアの塗布は皮膚炎を悪化させるだけで全くの無効であり、過度なアイシングは壊死組織を拡大させる危険因子と認定されています。
皮膚科専門医の玉城有紀医師ら現場の臨床医も警鐘を鳴らす通り、患者が「冷やしながら受診」してくるケースはいまだ後を絶ちません。現場の救急看護師は、「保冷剤を外した途端に失神寸前の痛みがぶり返し、パニック状態で担ぎ込まれる患者が非常に多い」と証言します。正しい43度以上の温熱洗浄を知っているかどうかで、受傷当夜を穏やかに眠れるか、地獄の痛みに耐え続けるかの分水嶺が明確に分かれているのが現実です。