SNSや大手Q&Aサイトに寄せられる生の声を精査すると、設定温度の数値と住環境のミスマッチに苦悩する現場の実態が浮き彫りになります。
「環境省の言う通り20度にしたが、末端冷え性には拷問に近い。肩こりと頭痛が悪化した」「築30年の木造アパートでは、24度に設定しても窓際から冷気が滝のように降りてきて震えている」といった声が後を絶ちません。一方で、「最新の高気密・高断熱住宅に引っ越したら、21度設定でも家中がポカポカで驚いた」という対照的な体験談も散見されます。
現場を取材する住宅診断士は次のように証言しています。「日本家屋の熱損失の約50〜58%は窓などの開口部から発生しています。断熱等級が低い住宅でエアコン暖房の設定温度だけをいくら引き上げても、暖気は上へ逃げ、冷気は窓から絶え間なく床へと侵入し続けます。住民が寒さを感じているのは、エアコンの能力不足ではなく、熱の逃げ場を塞いでいない住環境の構造的欠陥にあるケースが圧倒的です」。
つまり、設定温度を25度や26度へと無謀に上げる前に、厚手の断熱カーテンを床まで届く長さに垂らす、窓ガラスに断熱シートを貼るなどの「防御策」を講じることこそが、寒さを感じないための必須ステップです。