「家族だから仲良くしなければならない」という世間の規範に縛られ、多くの人が自らを責めています。しかし、弟が嫌いな理由を掘り下げていくと、当人同士の単なる相性問題にとどまらず、育った家庭環境の歪なパワーバランスに起因しているケースが大半を占めます。
なかでも最も深刻な火種となっているのが、親のえこひいきによる弟の過度な優遇です。日本の家庭環境において根強く残る「長子に対する過剰な期待と厳しさ」と「末っ子・男児に対する甘やかし」の非対称性は、子どもたちの心に深い影を落とします。弟の失敗や我が儘は「まだ小さいから」「男の子だから」と不問に付される一方で、上の子には「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」と理不尽な自己犠牲が強要されてきた歴史があります。
家族社会学の臨床現場でも指摘される通り、この構造によって生じるきょうだい格差の心理は、成人後も解消されることはありません。それどころか、大人になっても「何かあれば親や上の兄弟が助けてくれて当然」と錯覚したまま成長した弟と、「常に責任を押し付けられ、搾取されてきた」と感じる側との間で、埋めようのない亀裂を生み出します。日常的な理不尽の積み重ねが、やがて弟に対してうざいと感じる慢性的なストレスへと変貌し、最終的に「自分の人生にこの人間はいらない」という決定的な拒絶へと至るのです。