無一郎が多くのファンの涙を誘い、人格的にも深く愛される理由は、その過酷すぎる過去と兄・時透有一郎との兄弟の絆にあります。
かつて木こりの家庭で育った無一郎は、両親を相次いで亡くした後、双子の兄・有一郎と二人きりで暮らしていました。情に厚く心優しい無一郎に対し、有一郎は常に厳しい言葉を浴びせ、「情けは人のためならず(人のために善行をしても意味がない)」と冷たく突き放していました。しかし、その真意は「弟だけは理不尽な世界から守り抜きたい」という不器用な愛情の裏返しだったのです。
鬼に襲撃され、瀕死の重傷を負った有一郎が最期に遺した「無一郎の無は、無限の無なんだ」という言葉。この真実を思い出した瞬間、記憶喪失によって抜け殻のようになっていた無一郎の心に炎が灯ります。大切な人のためにすべてを懸けて戦う意志を取り戻したことこそが、彼が手に入れた「本当のかっこよさ」の源泉です。