日本列島の夜間衛星写真を観察すると、国土交通省の白書を何十ページ読むよりも明快に、日本の国土構造と人口動態が浮き彫りになります。
東京圏から名古屋、大阪、瀬戸内海沿岸、福岡へと連続する「太平洋ベルト地帯」は、切れ目なく一本の巨大な光の帯となって浮かび上がります。首都圏の光量は世界でもトップクラスであり、首都高や東名高速、新幹線のルートに沿って光が樹枝状に伸びている様子がはっきりと確認できます。
一方で、中国山地や四国山地、東北地方の内陸部、北海道の広大な山間部は、本州の中央部にありながら深い闇に包まれています。平野部と山間部の境界線がそのまま光の断絶となって現れており、可住地面積が限られた日本の地形的特徴と、過疎化・高齢化に伴う地方都市の集約(コンパクトシティ化)の現状が生々しく投影されています。
さらに興味深いのは海洋の観測です。春から秋にかけての日本海沿岸や三陸沖には、都市の明かりに匹敵するほどの高密度な漁船の光が整然と並びます。これは水産資源の宝庫であると同時に、排他的経済水域(EEZ)周辺における外国漁船の操業実態や、資源管理を巡る国境警備の最前線を物語る光景でもあります。