日本の養鶏場がどれほど衛生管理を徹底していても、毎年のように感染が発生してしまう根本的な原因は、渡り鳥による感染経路にあります。
毎年秋から冬にかけて、シベリアやアラスカなどの極北の繁殖地から、カモ類やガン類をはじめとする渡り鳥が日本各地の湖沼や河川に飛来します。これらの野生水鳥は鳥インフルエンザウイルスの自然宿主であり、自身は重い症状を発症しないまま体内にウイルスを保有して移動します。
渡り鳥がため池や水田に落とした糞便から、農場周辺の環境がウイルスで汚染されます。そこから以下のような媒介者によって、厳重に管理された鶏舎の中へとウイルスが持ち込まれます。
- 野生小動物・昆虫:ネズミ、イタチ、カラス、スズメ、あるいはハエなどの害虫が鶏舎のわずかな隙間から侵入する。
- 人や車両:農場に出入りする作業員の長靴の裏、集卵車や飼料運搬車のタイヤに付着した泥やホコリ。
- 空気・粉塵:強風によって乾燥した糞便の粉塵が鶏舎の給排気口から吸い込まれる。
2025〜2026年の最新動向では、地球温暖化や生態系の変化に伴い、ウイルスが夏の間も野生動物間で循環し続ける「周年化」の傾向が世界的に報告されています。かつては冬季限定の脅威だったウイルスが、春先や初夏まで残存するケースが見られ、養鶏現場では年間を通じたバイオセキュリティ(生物安全対策)の徹底が求められています。