婚約指輪の予算を語る際、誰もが耳にしたことのある「給料3ヶ月分」という言葉。取材を進めると、この基準は日本の伝統でも社会通念でもなく、1970年代に大手ダイヤモンド商社デビアス社が仕掛けたマーケティング戦略に過ぎないという事実が浮き彫りになります。
当時、日本に婚約指輪を贈る習慣を爆発的に広めるため、テレビCMなどを通じて「給料の3ヶ月分」という具体的な指標が刷り込まれました。高度経済成長期の右肩上がりの給与体系とマッチしたことで定着したものの、バブル崩壊を経て現在では完全に実情から乖離しています。
リクルートのブライダル総研による「ゼクシィ結婚トレンド調査」および大手ブライダル媒体の最新追跡データを検証すると、婚約指輪の全国平均相場は約38.2万円を推移しています。これは新郎の平均的な手取り月収(約25万〜30万円前後)に換算すると、およそ「給料の1.2〜1.5ヶ月分」に相当します。「給料3ヶ月分を用意しなければ失礼」という観念は、現代の賢明な消費者間ではすでに過去の遺物となっています。