「親も小指の爪が小さかったから遺伝に違いない」と思い込んでいる方は多いですが、先天的に爪甲(そうこう)が欠損する無爪症などの遺伝性疾患は極めて稀です。フットケアの現場で相談に訪れる人の約9割以上は、後天的な圧力によって爪の成長が阻害され、周囲の皮膚に埋もれている状態に過ぎません。
爪は根元にある「爪母(そうぼ)」という組織で作られ、指先に向かって押し出されるように伸びていきます。ところが、爪母や爪が乗っている「爪床(そうしょう)」に対して上や横から過剰な外圧が加わり続けると、血流が遮断されて爪の生成スピードが極端に低下します。さらに、小指の先端を覆う皮膚組織が摩擦から身を守るために防衛反応として角質化し、前方に分厚い「角質の壁」を形成してしまうのです。
結果として、伸びようとする爪が硬い皮膚に押し戻されて皮膚の中に潜り込み、表面からは「米粒の半分ほどしか露出していない」「ほとんど爪がない」という見た目を作り出しています。つまり、爪が退化して消えたのではなく、角質の地中に本来の爪が閉じ込められているのがトラブルの本質です。