SNSや知恵袋、医療相談コミュニティを検証すると、「耳の中でカサカサ音がするので綿棒で掃除したら、突然音がゴソゴソと低音に変わり、耳が詰まったようになって聞こえづらくなった」という悲痛な告白が後を絶ちません。都内の耳鼻咽喉科専門医が語る現場の実態も、この危険性を裏付けています。
「診察室に来られる患者さんの多くは、『奥に耳垢があると思って綿棒を深く突っ込んだ』とおっしゃいます。しかしマイクロスコープで覗くと、外耳道の途中にあった乾いた耳垢が、綿棒の先端で鼓膜へ押し固められ、鼓膜全体にへばりついてしまっている。これではカサカサ音どころか強い耳閉感や難聴が生じるのも当然です」(都内耳鼻科クリニック院長の取材談話)
綿棒の直径はおよそ4〜5ミリあります。これに対して成人の外耳道内視鏡径は狭い部分で5〜7ミリ程度しかありません。つまり、細いトンネルの中でピストン運動を行えば、異物を掻き出すどころか、奥の鼓膜へ向かって押し込む圧送機として機能してしまうのです。
さらに、焦ってピンセットや針金、先端が尖った金属製耳かきを自ら挿入した結果、外耳道壁を削り取って出血させ、耳掃除のやりすぎと外耳道炎を併発させるケースが頻発しています。傷口から細菌や真菌(カビ)が侵入して外耳道湿疹や外耳道真菌症に移行すると、ズキズキとした拍動痛や悪臭を伴う耳漏(汁)が生じ、治療に数週間から数ヶ月を要する事態に発展します。