ホルモン専門店や老舗焼肉店の現場において、牛の胃袋系部位は「職人の下処理技術が味の9割を決める」と断言されるほどシビアな食材です。食肉卸売市場から届く原体は、発酵槽として機能していた内臓特有の強い臭気やぬめりを持っています。
都内有名ホルモン店の店主への取材や業界の調理指針によると、下処理工程には妥協のない手間がかけられています。
「ミノは包丁を入れる深さ1ミリの差で食感が別物になります。裏側の硬いスジを丁寧に引き剥がし、鹿の子状(格子状)に細かくスリットを入れることで、噛み切れる絶妙な歯切れを実現します。また、センマイは表面のひだ1枚1枚を流水と小麦粉や塩で徹底的に揉み洗いし、不純物を完全に取り除かなければ、あの清涼感のある歯ざわりと甘みは絶対に出せません」
SNSや口コミサイトのリアルな消費者評価を見ても、「安い店で食べたギアラは生臭くて脂っこかったが、名店で食べたギアラは脂が甘くジューシーで感動した」「センマイ刺しが美味しい店は他の肉も間違いなく新鮮」といった声が目立ちます。牛の胃は、素材の鮮度と職人の技術力が最もダイレクトに反映されるバロメーターなのです。