やまもり三香の作品を語る上で欠かせないのが、類まれなるグラフィックセンスと緻密なキャラクター描写である。特に講談社の『月刊デザート』で大ヒットを記録した『うるわしの宵の月』では、その真価が遺憾なく発揮されている。「王子」と呼ばれる容姿端麗な男女の不器用な交際を描いた本作は、作画の美しさだけでなく、登場人物の葛藤や息遣いまでもが画面から伝わってくるかのような圧倒的な臨場感に満ちている。
コマ割り一つ、視線の落とし方一つに意図が込められている。読者はページをめくるたび、まるで映画のワンシーンを目撃しているかのような感覚に陥る。このビジュアル表現の妙こそが、ファン層を拡大し続けている最大の原動力なのだ。