2021年8月13日の大規模噴火の際、上空1万6,000メートルに達する巨大な噴煙柱とともに東西約1キロメートルの巨大な新島が出現し、領海拡大への期待を含め大きな話題となりました。しかし、その島はわずか数カ月で急速に縮小し、最終的に海面下へと水没しました。
この「新島消滅の理由」について、火山地質学の研究者や調査機関は以下の構造的要因を特定しています。
- 堆積物の脆弱性:同じ小笠原諸島の西之島が硬い「安山岩質溶岩」を継続的に流出させて頑強な台地を形成したのに対し、福徳岡ノ場の新島は発泡した軽石(スコリア・軽石塊)や火山灰が降り積もっただけの「火砕丘(スコリア丘)」であったこと。
- 太平洋の激しい波浪侵食:黒潮や激しい外洋のうねり、冬季の季節風による波浪が、締め固まっていない柔らかい軽石の島を急速に削り取ったこと。
- マグマ噴出の早期停止:島を恒久化するために不可欠な「溶岩ドームの海面露出」や「耐食性のある硬質溶岩の被覆」が完了する前に噴火活動のピークが過ぎてしまったこと。
過去の記録を遡ると、福徳岡ノ場は1904年(新硫黄島)、1914年、1986年にも新島を形成しては、数カ月から1年程度で波に洗われて海面下に没するというサイクルを繰り返しています。今回の消滅も海底火山のライフサイクルとして極めて自然な帰結だったといえます。