Q1:市販の人間用オロナインやアルコールで愛犬の耳を消毒しても良いですか?
A1:絶対に避けてください。人間用の皮膚軟膏は油分が多く、かえって好脂性真菌であるマラセチアの増殖を助長する危険性があります。また、アルコール(エタノール)は炎症を起こしている耳道粘膜に強烈な激痛としみる刺激を与え、愛犬に深刻なトラウマを植え付けます。必ず獣医師が処方した犬専用の点耳薬および洗浄液を使用してください。
Q2:耳毛が多い犬種ですが、抜いた方がマラセチアは治りやすいですか?
A2:近年の獣医皮膚科学では「無理な耳毛抜きは原則推奨しない」という見解が主流です。かつては通気性を保つために毛抜き鉗子で引き抜く処置が一般的でしたが、毛根を無理に引き抜くことで毛包に激しい炎症が起き、そこから細菌やマラセチアが侵入して外耳炎を悪化させることが判明しました。現在は、耳道入り口付近の余分な毛をハサミや専用バリカンで短くカットする「整毛」に留めることが安全な標準手技とされています。
Q3:マラセチア外耳炎は完全に「完治」して二度とならなくなりますか?
A3:マラセチアは犬の皮膚に常に存在する常在菌であるため、無菌状態にして永久に排除するという意味での「完治」はありません。目指すべきゴールは「菌が存在していても悪さをしない、健やかな皮膚環境を維持する寛解(かんかい)」です。適切な耳道環境の維持とアレルギーコントロールが成立すれば、薬を使わずに無症状の状態を何年も維持することは十分に可能です。
Q4:エリザベスカラーは付けたまま生活させた方が良いでしょうか?
A4:自傷行為が激しい急性期には極めて有効です。後ろ足で激しく耳を掻きむしると、耳介の皮膚を裂いて二次感染を起こしたり耳血腫を誘発したりします。ただし、通気性を著しく損なう布製タイプや狭い形状のものは耳道内の湿度を上げてマラセチアを増殖させやすいため、獣医師と相談のうえ、通気性を確保できるドーナツ型や適切なサイズ設計のカラーを選択してください。