釜玉うどんを食べる際、多くの人が「麺の上に卵を落としてから混ぜる」という手順を踏みがちです。しかし、讃岐うどんの本場・香川県の製麺所やツウの間で推奨されているのは、「温めた丼の底に生卵を割り入れ、その上から熱々の麺を被せる」というアプローチです。
この順番にする最大の理由は、麺が持つ潜熱(保有熱)を最大限に活かして卵を半熟状態へ導くことにあります。冷たい生卵を麺の上から落とすと、外気に触れて麺の表面温度が急激に下がり、卵が生ぬるいまま固まらずに水っぽくなってしまいます。底に卵を忍ばせて約10〜15秒ほど蒸らしてから一気にかき混ぜることで、白身に適度な熱が入り、まるでカルボナーラのような濃密なクリーミーさが生まれます。
また、「白身をどこまで混ぜるか」という点も仕上がりを左右します。白身のドロッとした食感が苦手な場合は、麺を入れる前の段階で丼の底で卵を軽く溶いておくのがベストです。黄身だけの濃厚さを楽しみたい場合は全卵ではなく卵黄のみを使用する選択肢もありますが、白身に含まれる水分とアミノ酸がうどんのグルテンと絡み合うことで生まれる独特の滑らかさこそが、伝統的な釜玉うどんの醍醐味といえます。