ネット上で囁かれ続ける悲劇の真相は、1982年(昭和57年)4月20日に東京都八王子市の歯科医院で起きた「八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故」に端を発します。当時3歳3ヶ月だった女児が、虫歯予防の目的で同医院を訪れ、歯面に薬品を塗られた直後に激しい苦痛を訴えて死亡しました。
当時の報道記録や裁判資料によると、院長が綿球に薬品を浸して女児の歯に塗布した瞬間、女児は「苦い!」「痛い!」と絶叫し、口内から白煙を上げて悶絶したと伝えられています。異変に気付いた母親が必死に制止しようとするなか、医師は「子供が暴れるのはよくあることだ」と誤認して処置を継続。その後、女児は全身痙攣を起こし、搬送先の病院で急性心不全により命を落としました。院長自らも薬品を指先につけて舐め、口内と指に重い化学熱傷を負っています。
なぜこのような地獄絵図が生まれたのか。捜査の結果、フッ素 歯医者 死亡 理由の核心は、虫歯予防用の「フッ化ナトリウム(NaF)」と、義歯の洗浄やサビ落としに使用されていた工業用劇物「フッ化水素酸(HF)」の取り違えにあったことが判明しました。薬品問屋が容器のラベル表示を怠り、医院側もずさんな小分け管理を行っていたという、幾重もの過失が重なり合った人災だったのです。この八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故は、医療従事者の薬品管理の甘さを浮き彫りにし、業務上過失致死罪で有罪判決が下される社会的大事件となりました。