SHEINの安全性をめぐる議論が世界的に再燃した最大の契機は、韓国ソウル市や関税庁が公表した抜き取り検査の公式ニュースです。行政当局が定期的に実施している海外直販プラットフォームの安全性調査において、複数のアイテムから各国の環境・衛生基準値を大幅に上回る毒性物質が確認されたと大々的に報じられました。
特に注目を集めたのは、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とされるフタル酸エステル系可塑剤や、国際がん研究機関(IARC)がグループ1(ヒトに対して発がん性がある)などに分類する鉛やカドミウムの存在です。日常的に身につける衣服や装飾品からこうした成分が検出されたことで、「安価なファストファッションの代償」として世界各国のメディアがトップニュースで危険性を報じる事態へと発展しました。
なぜこのような事態が起きたのか。その背景には、サプライヤー数千社をネットワーク化し、少ロット生産から即座に大量発注へ切り替える同社独自の「ウルトラファスト」な調達構造があります。スピードと極端なコストカットを最優先する過程で、サプライヤー側の原材料検査が抜け落ち、メッキ加工の薬剤や合成皮革の軟化剤に安価で粗悪な有害化学物質が混入したことが構造的要因として指摘されています。