チェコサッカーを語る上で避けて通れないのが、2003年にバロンドールを受賞したパベル・ネドベドの全盛期です。「鉄人」と呼ばれたネドベドは、左右両足からの強烈なミドルシュートと、心臓が破れるまで走り続ける狂気的なスタミナでユヴェントスと代表を牽引しました。
当時のチームには、ネドベドのみならず「リトル・モーツァルト」と称された司令塔トマーシュ・ロシツキー、長身202センチのターゲットマンとしてポストプレーの概念を変えたヤン・コラー、そしてゴールマウスに鍵をかけたペトル・チェフという、各ポジションに世界最高峰のタレントが揃っていました。特にEURO2004におけるオランダ戦で見せた0-2からの3-2大逆転劇は、今なお国際サッカー史に刻まれるスペクタクルです。
単なるノスタルジーにとどまらず、このレジェンドたちのDNAは現在のチームに色濃く継承されています。ロシツキーはスパルタ・プラハのスポーツディレクターとして近代的なスカウティング網を構築し、チェフは若手GKたちのメンターとして助言を惜しみません。かつてのレジェンドたちが後進の指導と環境作りに直接関与しているからこそ、チェコ代表は伝統的な走力と献身性を失わずにいられるのです。