前線を退いたと思われていた狗巻棘ですが、史上最大の戦いとなった「人外魔境新宿決戦」において、勝敗を分ける極めて重要なアシストを成し遂げます。
宿儺との死闘が極限に達した第263話、虎杖悠仁の前に突如として響き渡ったのは、聞き馴染みのある強烈な言霊でした。
「動くな」
宿儺の動きを完全に縫い止めたのは、現場にいなかったはずの狗巻の声でした。これは、狗巻が事前に自らの呪言を「ボイスレコーダー(録音テープ)」に吹き込み、それを乙骨憂太が宿儺との交戦地点に仕掛けておくという綿密な連携策だったのです。
呪言は術者と対象の力量差によって反動が跳ね返る性質を持っています。並外れた呪力量を誇る宿儺に対して呪言を浴びせた瞬間、遠隔地で待機していた狗巻自身も激しく吐血し、倒れ込むほどの凄まじい肉体ダメージを負いました。それでも彼は、自分の身を削って仲間たちに「一瞬の勝機」を託したのです。
前日譚『東京都立呪術高等専門学校(劇場版 呪術廻戦 0)』からの盟友である乙骨憂太との絶対的な信頼関係、そして自身の不自由な肉体を厭わず戦局を動かしたこの一手は、狗巻棘という呪術師の矜持を証明する最高の見せ場となりました。