ふたりの原点となったのは、1996年10月に放送を開始した音楽バラエティ番組『LOVE LOVE あいしてる』でした。当時50歳を迎えていた吉田拓郎は、日本のフォーク&ロック界の頂点を極めた孤高のカリスマ。一方の篠原ともえは、原宿系ファッション「シノラー」旋風を巻き起こしていた弱冠17歳の現役高校生でした。
当時、同じくMCとして抜擢されたKinKi Kids(堂本剛・堂本光一)とともに始まったこの番組において、楽屋突撃コーナー「プリプリプリティ」を担当した篠原ともえの傍若無人とも思えるハイテンションな絡みは、当初テレビ界に大きな衝撃を与えました。大御所ミュージシャンに対して臆することなく「拓郎〜!」と抱きつく篠原の姿に、番組開始直後は「生意気だ」「拓郎が怒るのではないか」と視聴者や音楽関係者がヒヤヒヤしたのも事実です。
しかし、吉田拓郎が抱いた感情は世間の予想とは正反対でした。吉田拓郎は後年のインタビューやラジオ番組において、「大人が作った計算や嘘が一切ない、篠原の圧倒的な純粋さとエネルギーに、凝り固まっていた自分の心が解き放たれた」と述懐しています。周囲が気を遣い腫れ物のように接する大ベテランの懐へ、損得勘定なしに飛び込んできた篠原ともえの人間性に、拓郎は誰よりも早く本物の才能を見出していました。