だしの配合や調味料の選び方にも科学的な根拠がある。味の素株式会社の研究でも知られる通り、グルタミン酸(昆布や鶏肉由来)とイノシン酸(鰹節や肉類由来)が合わさることで、うま味は何倍にも増幅する。スープのベースにこのうま味の相乗効果を意識的に組み込むことで、塩分を控えめにしても舌が十分に満足する濃厚なコクが生まれる。
豆腐の下処理も妥協してはならない。特に絹ごし豆腐を使う場合、パックから出してすぐに鍋へ投入すると、豆腐内部の冷たい水分が一気にスープへ溶け出し、全体の温度を下げて卵の凝固を乱す原因になる。あらかじめ一口大に切って常温に戻しておくか、軽く湯通ししてから加えるひと手間が、名店の味を再現する鍵を握っている。