従来の商業漫画誌を経由せず、WebやSNSから直接読者を獲得して単行本化へと至るルートは、いまや出版業界のメインストリームになりつつある。その先駆けとして市場を牽引してきた本作の手法は、多くの後続クリエイターに指針を与えた。編集主導の作品作りとは異なり、読者のダイレクトな反応を即座に作風へ反映できる機動力が最大の強みだ。
電子書籍の普及と縦スクロール形式の台頭により、漫画を取り巻く環境は激変した。しかし、えむふじんが紡ぐコマ割りは、昔ながらの横読みのテンポ感を保ちつつ、スクロールの手を止めさせない。フォーマットに縛られない普遍的な面白さこそが、激しいデジタルコンテンツの生存競争を勝ち抜く鍵であることを証明している。