福祉葬を執り行うにあたって、参列者からの香典やお寺への戒名・お布施の扱いには特有のルールが存在します。
まず香典の受け取りについてですが、生活保護世帯が喪主となって香典を受け取った場合、社会通念上妥当な金額(親族や知人からの数千円〜数万円程度の儀礼的な香典)であれば、生活保護法上の「収入認定」から除外されるのが通例です。香典を受け取ったからといって、その分だけ毎月の保護費が削られる心配は基本的にありません。ただし、高額な香典が集まった場合は資産とみなされる可能性があるため、ケースワーカーへの事前の報告が推奨されます。
一方で、戒名料やお布施を自費で支払う行為は重大な違反とみなされるリスクがあります。葬祭扶助は「金銭的余裕が一切ない」ことを前提に支給される制度です。遺族が数万〜十数万円を支払って僧侶に読経を依頼したり立派な戒名を授かったりすると、「宗教的儀礼に支払うお金があるなら、葬儀費用も自費で払えるはずだ」と判断され、葬祭扶助の受給資格そのものが取り消される恐れがあります。
どうしても読経を希望する場合は、ボランティア等で無償対応してくれる寺院を探すか、火葬炉の前で遺族自身が静かに合掌・見送りを行う形式を選択するのが実務上の安全策です。