スーパーの製粉コーナーに並ぶ小麦粉は、どれも一見すると大差のない白い粉末に見えます。しかし、製粉技術や食品成分表が示す客観的事実において、両者は明確に区別されています。強力粉と薄力粉の決定的な違いは、原料となる小麦の「品種」と、そこに含まれるたんぱく質割合の比較詳細に集約されます。
日本食品標準成分表および製粉協会の資料によると、強力粉には北米などを原産とする「硬質小麦」が、薄力粉には「軟質小麦」が主原料として採用されています。硬質小麦は粒が硬く、製粉すると粒子が粗いサラサラとした粉になります。対して軟質小麦は粒が柔らかく、極めて細かい微粒子へと粉砕されるため、指でぎゅっと握ると固まりができるほどしっとりとした手触りになります。料理の途中で容器を移し替えて判別がつかなくなった場合でも、粉を手で握って「サラサラと崩れるのが強力粉」「指の跡が残って固まるのが薄力粉」と触感で識別できるのはこのためです。
上記の小麦粉の種類と使い分け一覧からも明らかなように、たんぱく質含有量は薄力粉と強力粉で約1.5倍から2倍近く異なります。「たかが数パーセントの差」と侮るなかれ、この比率の差が調理工程における水分吸収率と網目構造の強度を根本から支配しているのです。