オーディオファンやネットコミュニティの間で長年議論されてきたのが「ノイズキャンセリングを入れると音質が悪くなる」という説です。結論から言えば、過去の低価格モデルに見られた露骨な音質劣化は、近年のデジタル信号処理技術の進化によってほぼ解消されています。
初期のANC機器では、騒音を打ち消す逆位相の音波が、楽曲本来の低音や空間の響き成分まで巻き込んで相殺してしまい、「音が痩せる」「閉塞感のある平坦な音になる」という現象が確かに存在しました。しかし最新世代の高級機では、マイクで拾った音を「騒音成分」と「楽曲データ」にリアルタイムで分離するAIプロセッサーが導入されています。
実際のユーザーレビューを検証しても、「音楽の輪郭が濁る」という不満は激減しており、むしろ「騒音が消えることで細かな楽器のニュアンスやボーカルの息づかいまでクリアに聴こえるようになった」という肯定的な評価が8割以上を占めています。純粋なオーディオ鑑賞を目的とする場合でも、静寂という下地が整うことによるメリットの方が遥かに上回っているのが現在の技術到達点です。