バラエティ番組で見せる親しみやすいキャラクターから、彼女が「演劇界の東大」とも称される文学座の出身である事実は、一般には意外と知られていません。小川菜摘は1984年、倍率数十倍といわれた難関を突破し、文学座演劇研究所に第24期生として入所しました。杉村春子をはじめとする昭和の巨星たちが息づく環境で、発声、肉体表現、台本読解といった基礎訓練を徹底的に叩き込まれた経験が、現在の女優活動の強固な土台となっています。
文学座で演技を磨く傍ら、テレビ界でも『火曜サスペンス劇場』や『木曜ゴールデンドラマ』といった2時間ドラマ、さらには数々の連続ドラマにキャスティングされました。シリアスなサスペンス劇における緊迫した演技から、日常を描くホームドラマのコミカルな役柄まで、制作現場からは「どんな役でも確実にこなせる器用な若手女優」として重宝されていた記録が残っています。アイドル的人気に甘んじることなく、舞台と映像の双方で地道にキャリアを積み上げた経歴こそが、彼女の表現者としての厚みを生み出しています。