シニア猫の命を奪う疾患の第1位は、圧倒的に「慢性腎臓病(CKD)」です。15歳以上の猫の3頭に1頭以上が罹患するとされ、猫の体質上、腎臓のネフロンが一度破壊されると再生しないことが長年の宿命とされてきました。
この医学的限界を打破する鍵として世界中から注目されているのが、元東京大学大学院医学系研究科教授・宮崎徹博士(現・一般社団法人AIM医学研究所代表理事)らによる「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)タンパク質」の研究です。
猫は先天的に血液中のAIMが正常に機能せず、腎臓の尿細管に溜まった老廃物(ゴミ)を自力で掃除できません。その結果、尿細管が詰まりネフロンが死滅して腎不全を引き起こします。現在、AIMを体外から補充する治療薬の開発や、AIMの活性を助けるアミノ酸配合フード・サプリメントの普及が急速に進んでおり、獣医療界では「猫の寿命が25〜30歳に達する未来」の現実味が高まっています。
現場の獣医師が口を揃えて強調する、日頃から家庭で実践すべき「腎臓と寿命を守る3大ケア」は以下の通りです。
① 水分摂取量の絶対的確保:猫は元来砂漠出身のため渇きに鈍感です。循環式自動給水器の設置、ウェットフードの併用(水分含有率約80%)、スープ仕立ての補水フードの活用により、1日あたり体重1kgにつき約50mlの水分摂取を維持します。
② リンとナトリウムの早期制限:シニア期(7歳〜)に入ったら、血液検査データに基づきリン吸着剤や腎臓配慮フードへ段階的にシフトし、腎臓の濾過負担を軽減させます。
③ 早期不妊・去勢手術の恩恵:生後6ヶ月前後の去勢・避妊手術は、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍(悪性率約90%)、精巣腫瘍をほぼ完全に予防し、発情ストレスを無くすことで寿命を平均1.5〜2年延ばすことが証明されています。