ネット上の掲示板やSNS、愛車コミュニティを調査すると、FD3Sに憧れて飛び込んだ元オーナーたちの苦悩が浮き彫りになります。彼らが「RX-7を手放す理由」として挙げる言葉には、共通するリアルな切実さがあります。
「月収24万円で頭金なしのフルローン。最初の半年は夢見心地だったが、高速道路で突然水温計が急上昇し、オーバーヒートでエンジンブロー。ショップから提示された修理見積もりは140万円だった。預金残高は20万円しかなく、ローンだけが残ったガレージのFDを見つめながら売却手続きを取った」(20代後半・元オーナーの手記より)
「結婚と子どもの誕生が重なった瞬間、維持は不可能になった。エアコンの効きは弱く、2シーター扱いに近い後部座席にチャイルドシートは物理的に乗らない。ガソリン代だけで家族旅行に行けるほどの出費になり、妻との口論の火種になり続けた。愛してやまない車だったが、家族の平穏のために手放すしかなかった」(30代半ば・元オーナーの証言)
現場取材で見えてきたのは、単なる金欠だけでなく「RX-7部品供給終了と高騰」に対する精神的疲弊です。外装モールやウェザーストリップ、ドアノブ、各種センサーなどの純正部品が次々と製廃になり、ヤフオクやフリマアプリでは中古の純正リレーや樹脂パネル1枚が定価の5〜10倍で取引されています。「壊れたら二度と直せないかもしれない」という極度のプレッシャーが、休日のドライブから純粋な楽しさを奪い、維持を断念させる見えない引き金となっています。