灰原哀の歴代描写の中で、もっとも強烈なインパクトを残したのが「甘く冷たい宅配便」(アニメ第722話・第723話/原作単行本第80巻)です。冷凍宅配車の中に閉じ込められてしまった少年探偵団の脱出劇を描いた密室サスペンスでありながら、ファンの間では「公式最大のサービス回」として記憶されています。
事の発端は、灰原が着用していたニットセーターのほつれた毛糸が、荷物の段ボール箱に引っかかってしまったことでした。車内で身動きを取るたびに毛糸がスルスルと解けていき、最終的には上半身のセーターが完全に消失。キャミソールと下着同然の姿になってしまうという、前代未聞のアクシデントに見舞われます。
コナンが機転を利かせて上着を貸そうとするものの、灰原が恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして激怒する姿や、光彦が思わず目を逸らしつつ赤面するリアルな描写は、視聴者の心を強く掴みました。緊迫したサスペンスの中に青山剛昌氏特有のラブコメ的ユーモアが絶妙にブレンドされた、まさに語り継ぐにふさわしい名エピソードです。