地震が発生する数日前から当日にかけて、X(旧Twitter)などのSNSでは「頭痛がひどいから大地震が来るかもしれない」「吐き気とめまいがする」といった投稿が急増します。いわゆる「地震予知体感」と呼ばれる現象です。
こうした言説の根拠としてよく挙げられるのが、「岩盤が破壊される際に生じる電磁波を人体が感知している」という仮説です。確かに、地殻に応力が加わる過程で微弱な電磁放射が生じる現象(圧電効果など)自体は地球物理学の分野で研究対象となっています。
しかし、医学および地球物理学の観点において、日常生活空間に届く極めて微弱な電磁波が人体の神経系を刺激して頭痛や吐き気を誘発するという明確な科学的証拠は立証されていません。人間が感知できるレベルの電磁波強度には達しておらず、多くの専門家は「体調不良と地震発生が偶然重なった記憶が強く残る認知バイアス(確証バイアス)」であると分析しています。