「煮込みに使うワインは安物でいい」という言説は、もはや過去の遺物だ。一般社団法人日本ソムリエ協会の有識者たちも指摘するように、煮詰めたワインの質はソースの骨格そのものになる。過度なオーク樽の香りがついたワインは熱を加えるとエグみに変わるため、果実味と酸のバランスに優れたミディアムボディを選ぶのが鉄則だ。
理想を言えば、料理のルーツに忠実なブルゴーニュワイン、とりわけピノ・ノワール種が最適解となる。グラスに注ぐ一杯と同じ銘柄を贅沢に鍋へと注ぎ込むことこそが、皿の上とグラスの間で完璧なマリアージュを成立させる唯一無二のプロの流儀である。