美しい渓谷を保ち続けることは、決して容易ではない。集中豪雨や台風の爪痕が残るたび、川底の土砂を払い、魚道を守り続けてきたのは地域の内水面漁業従事者たちだ。彼らの手弁当による保全活動なくして、この豊かな環境の維持は語れない。
上流に民家が存在しない原生林から湧き出す清水は、廿日市市の大切な財産だ。しかし、気候変動による渇水や水温上昇のリスクは年々高まりを見せている。水質を定点観測し、水量をコントロールしながら養魚池に引き込む日々の地道な管理が、私たちのレジャーの土台を支えているのだ。
「山が荒れれば水が濁り、ヤマメは真っ先に死んでしまう」。現場の生々しい言葉は、観光という華やかな舞台の裏にある、自然への畏怖と保護の重みを雄弁に物語っている。