小樽の観光ストリート・堺町通りの一角で堂々たる風格を漂わせる建物は、1906(明治39)年に建てられた「旧名取高三郎商店」です。小樽市指定歴史的建造物第28号にも指定されているこの建物は、外壁に重厚な札幌軟石を用いた木骨石造の構造を持ち、当時の繁栄を如実に物語っています。火災から財産を守るために設けられた防火壁「うだつ(卯建)」の意匠など、建築ファンにとっても見どころが尽きません。
大正硝子館本店が多くの人を引きつけてやまない最大の理由は、単なる歴史保存建築にとどまらず、「明治の商家の空気感の中で、大正ロマンの風情を宿す和風硝子を愛でる」という唯一無二の体験価値を提供している点にあります。西洋文化を取り入れながら日本独自の美意識を開花させた大正時代のガラス工芸。その温もりある風合いと、石造り建築が持つ独特の静謐な空気が見事に調和し、訪れる者を非日常のノスタルジーへと誘います。