ブームの過熱と比例するように、ワイドショーや女性週刊誌を賑わせたのが「W浅野の不仲説」でした。「現場で口をきかない」「衣装の色被りをめぐってスタイリストが怒鳴られた」「カメラの抜きカットの数で揉めている」といったセンセーショナルな噂が連日のように報じられました。
しかし、後年の特番対談や各社インタビューで明かされた事実は、メディアが作り上げた対立構図とは全く異なるものでした。当時を振り返った浅野ゆう子の証言によると、連日連夜の過密スケジュールの中で台本を覚えることに忙殺され、「仲良くおしゃべりをする物理的な余裕など1分もなかった」というのが過酷な現場のリアルでした。
さらに、浅野温子も「周りの大人が勝手にライバル関係を煽っていただけ。私たちは現場で良い作品を作ることだけに集中していた」と語っています。実際には、メディアが不仲説を煽る空気感を逆手に取り、カメラの前では完璧な掛け合いを見せるという、プロフェッショナル同士の高度な信頼関係が存在していました。互いに迎合しない孤高のスタンスが、外野からは「冷戦」に見えていたに過ぎません。